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筋トレ時のセット間の休息


 一般のトレーニングジムなどを見ていると、セット間の休息を適当にしてしまっている人が多いのをよく見受けます。筋トレをする人の多くは、「どんな器具を使って」「何セット行うか」「どんな種目をやるか」など、トレーニングメニューだけを細かく計画するのが一般的でしょう。

 一方、ここで見落とされがちなのが、「休息」です。実は、筋肥大の効果を最大化するためには、セット間に「何分間の休息を挟むか」が大切な要素となります。

 セット間の休息時間がトレーニングによる筋肥大に影響を与えることは、現代のスポーツ科学での様々な研究報告において、一致した見解となっています。とはいえ、最適な休息時間というのは、トレーニング経験者の有無、性差などによっても左右され、絶妙なタイミングが求められます。
 

目次

休息は短時間か❓長時間か❓

 スポーツ科学の分野では短時間派(1分間)と長時間派(3〜5分間)に分かれ、長く議論されていました。短時間派は、1分程度の休息時間が最も筋肥大の効果を高めるとし、根拠として「成長ホルモン分泌の増加」を挙げていました。

 ある研究では、被験者にベンチプレスやスクワットを4セット行わせ、セット間の休息時間を1分、1分半、2分に設定し、運動後の成長ホルモンや、テストステロンの濃度を計測しました。その結果、2分の休息時間に比べ、1分と1分半では成長ホルモンの増加が示されたのです。

 これらの知見を背景に、短時間派は「セット間の休息は1分間程度が妥当である」と主張していました。この主張は日本のメディアでも引用され、「セット間の休息時間を短くした方が成長ホルモンの分泌が増加し、筋肉が肥大しやすい」という常識となったのです。

成長ホルモンと筋肥大

 ところがその後、「成長ホルモンの増加は、筋タンパク質の合成作用や筋肥大に寄与しない」ことがわかってきたのです。

 2012年に、筋肥大に関与するとされる様々な因子について検証されました。被験者が12週間のトレーニングを行った結果、約20%の筋肉量の増加を認めました。この筋肉量の増加に対する成長ホルモン、テストステロン、インスリン様成長因子などの影響を調べたところ、これらと筋肥大には有意な関連が見られなかったのです。

 2013年にも改めて検証したら、同様の結果になったのです。これらの結果から「トレーニングによる一時的な成長ホルモンなどの増加は、筋タンパク質の合成や筋肥大に寄与しない」と結論づけたのです。

 「筋肥大は運動単位の十分な動員によって活性化された細胞内機構が、筋タンパク質の合成作用を促進させることによって生じる」

 つまり、セット間の休息時間が短いほど良いというわけではないのです。

最適な休息時間には個別性がある

 人間は年齢や性別、体格、運動機能、トレーニング経験の有無などにおいて「個人差」があります。例えば、男女間では筋肉量や筋代謝、血流などの回復機構が異なることが以前より報告されていたが、性別の違いがセット間の休息時間に影響を与えることは一切考慮されていなかったのです。

 総負荷量を高め、筋肥大の効果を最大化させていくうえで、自分に合ったセット間の休息時間を考える際の基盤となるようなエビデンスはないのでしょうか❓

 トレーニング経験者は高強度トレーニングを行うことが多いものですが、その場合、休息時間が長い(2分以上)ほうが総負荷量の増大に繋がり、トレーニング効果が高まるされています。一方、トレーニング初心者は中・低強度トレーニングを選択することが多く、その場合、短時間(1〜2分)の休憩でも十分に高いトレーニング効果が得られることがわかっています。

 トレーニング経験者が行うような高強度のトレーニングでは、セット間の休息を長くすることで総負荷量を増やせる可能性があります。しかし、ジムでトレーニングする場合は順番待ちなどもあり、長い休憩をはさむのは難しいかもしれません。そのような場合は、トレーニング強度を下げ、回数を増やすことで、セット間の休憩を短縮しても十分な総負荷量が維持できると考えられます。

 さらに、トレーニング初心者が行う低強度トレーニングでは、1〜2分間程度の休憩時間で問題ないとされています。自分自身のトレーニング経験から総負荷量を高められるように、メニューをデザインしていきましょう。

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